Real Book Stories / Wolfgang Muthspiel

Real Book Stories

Real Book Stories

Wolfgang Muthspiel(g)、Marc Johnson(b)、Brian Blade(ds)のトリオによる、2001年リリース作品です。 原盤はオーストリアの Quinton というレーベルから発売されていますが、26P のフォトブックレットを綴じたデジパック仕様になっていて、なかなかオシャレ!ですね。 Wolfgang が使っていると思われるギターの写真も載っているけど、Heritage の Millennium Eagle 2000 かな?


個人的に Wolfgang といえば、Marc Johnson's Right Brain Patrol「Magic Labyrinth」(id:anomala:20050702#p4)での、先進的でユニークかつどことなく無国籍風なプレイを思い出しますが、本作でのプレイはオーソドックス(もしくは万人向け)といっても差し支えないでしょう。 ストレートアヘッドなスタイルのアンサンブルであることと、Wolfgang 自身が敬愛するスタンダードな楽曲を収録しているということを考慮すれば、納得のプレイということになりますか。 正確無比で端正なプレイスタイルをベースに、指弾きも交えたピッキングの強弱による微妙なニュアンスのつけ方が相変わらず素晴らしいし、そこに箱物らしいストレートで柔らかなトーンが加わって、実に美しいですね。 かつ、とてもクレバーな印象を受けます。


スタンダード集というのは知っている曲があるという点で取っつきやすいのがポイントなので、Wolfgang のプレイを聴いたことがないという人にもオススメできる 1枚かと思います。 アルバム全体を支配する、グッと落ち着いた大人な雰囲気もクールだし。 ただし、ギタリストとしての個性という視点で見ると、やや物足りない感じがしないでもないかなあ… あまりにもお行儀が良すぎて引っかかりがないというか。 じっくり聴き込むと、そこかしこでいい味を出してはいますが。 バックを務める二人に関しては、期待を裏切らない、いつもどおりの仕事ぶりで言うことなし。