Canon PowerShot S90

PowerShot S90
メモ用カメラとしてほぼ理想に近い RICOH CX3 ではありましたが、露出制御がプログラムAEオンリーゆえに不満に思えるシーンがちょこちょこあったので、こちらに買い替えてみました。 後継機種の S95 が発売済みなので旧モデルなんだけど、買った時すでに旧モデルだったりして。 ま、値段に釣られたクチです。 んで、旅カメラとして使ってみた結果、早くも売り飛ばしたくなりましたw 以下、不満な点を列挙っと。 その前に良い点を書いておくと、明るいレンズで暗所に強く高感度の画質もそこそこイケてる、見た目が好み、あたりでしょうか。


■AFエリアが中央固定
まず買ってみてビックリしたことが。 それはAFエリアが中央固定で動かせないという点です。 顔認識モードにすれば中央以外にもエリアは移動しますが、どこに行くかはカメラ任せだし、そもそも顔じゃなければお手上げですねw これまで何種類のコンデジを手にしたかは覚えていませんが、AFエリアを移動しようとして出来なかったモデルは記憶にありません。 コンデジならではの被写界深度の深さを活かして、まずピントを合わせたい位置を中央に持ってきてロックしてから構図を考えればいい…と言えるのは、被写体がある程度遠くにあるケースだけですね。 マクロでは所謂コサイン誤差が無視できないし。 あ、だからマクロに強くないのか。 卵が先か鶏が先かみたいだけどw
このモデルに関しては気になるポイントがいくつかあって、それは購入前から知っていたので諦めもつきますが、出来ると勝手に思い込んでいたことが出来ないとなると、ダメージは大きいですね。 つうか、固定にしている意図がよくわからないかも。 スナップショット専用モデルなのかな? マクロなんてそんなに常用するわけではないので困るケースは少ないとはいえ、レンズが明るい分、邪念も沸きますからねえw ちなみに、マニュアルフォーカス時にはエリア拡大なんてちょこざいなことをやってくれますが、当然ながら中央のみ。 使えねえ。


□追記
AF の性能そのものは、低コントラストの被写体にけっこう弱い印象です。 何気なくカメラを向けて「え?これで合わないの?」みたいなシチュエーションが多々ありますね。 明るいレンズ+大きめの映像素子なので条件が厳しいことを考慮しても、合焦しないケースが多すぎるのでは。 
もっとも、合焦マークが出たからといって、ホントにピントが合っているかどうかは… シビアに判定すれば NG なんだけど、とりあえずいっかーみたいなノリでピピッ!というカメラがあったとしたら、よりタチが悪いかもしれませんw ここらへんのチューニングは技術的な観点はもとより、メーカーとしての良心とか営業部門の圧力とか、様々な要因が絡んできて面倒くさいことになっていそうです。


■軽すぎるコントローラーホイール
AFエリアの件とは違い、こちらは事前情報として知っていました。 ただ、情報として知っていても実際に使ってみないと気がつかないことは世の中に多いですからねー。 そして気がついた時点で、むかついてくるとw
例えばP(プログラムAE)モードを選択していると、このホイールには露出補正がアサインされます。 それはいいとして、問題は機能をオフに出来ないのに加えて、ホイールの回転が軽すぎることです。 なにせカメラが小さいので、何気にホイールに手が触れてしまうケースは多々発生します。 そして露出補正のパラメータが勝手に動くと。 露出補正の値はモニターに表示されるのでシャッターボタンを押す前に確認すれば済む話ではあるんですが、咄嗟にシャッターボタンを押さねばならないようなシチュエーションだと、そんなの一々確認していられません。 そもそも露出補正をしたつもりがないのに勝手にされているわけで、なんでユーザーがいらん気をつかわないといけないんだ!っつう話ですね。
この軽すぎるホイールは余程不評だったらしく、後継の S95 ではクリックのあるタイプに変わっています。 再生時のスライドショー的な演出とか、シーンモード呼び出しの演出とか、軽く回るのがフィーリング的に合っているケースもあるところから、軽い=悪いとは決めつけられないものの、製品としてリリースする前に実機によるフィールドテストはしていないんじゃないかなーという疑念がふつふつと。
ついでながら、シーンモードの呼び出しは、選択肢を全部表示してカーソル移動で選択ではなく、ホイールをクルクル回すとアイコンが次から次へとひとつずつ現れるという作りになっていて、こちらも使い難いことこの上ナシ。 どんなシーンモードを備えているのかパッと見てわからないのは、ユーザーインターフェースとしてはイマイチです。


■老舗のカメラメーカーらしからぬ製品
他にもグリップのことを何も考えていないとか、電源ボタンの位置がヘンだとかありますが、簡単に言えばバランスが悪い、かな。 ある種の格好良さを追求するあまり、結果としてカメラとしてのベーシックかつ重要なポイントを軽視する方向になってしまったと。 シリーズとしては新しいラインなので、この先熟成されることを期待しつつ、ソフマップ買取カウンターへ出向きますかw


■理想のカメラはいずこ
CX3 にシャッタースピード優先モードがあればパーフェクトだったのになあ… リコーも GXR なんて変態路線じゃなくて、GX200 を進化させてくれれば良かったのに。 CX シリーズの出来の良さを思うと、ある意味もったいない気さえします。 もっとも、GXR もコンセプトとしては面白いし、実際に製品として出してしまうアグレッシヴな姿勢は尊敬しますが。