Alex Machacek Trio Japan Tour 2009 STB139(2009.6.13 19:00)

ギタリストとして参加していた UKZ でのツアーを終えて、今日から自身のトリオでのツアー(東京、郡山、仙台、名古屋)をスタートさせる Alex さんですが、初日となる STB139 公演を観に六本木までお出かけでございます。 セットリストが気になるけど、最新アルバムからのナンバーが多いのかな? Terry Bozzio とのトリオの時よりは取っつきやすい感じでお願いしたいものですw
STB139


□開演前
先々週の保田矢口@STB139の時に聞いたらチケットが売れてないという話だったので、ドアオープン 20 分後にちんたら行ってみるとフロアの 1/4 も埋まってないとか。 おかげで、好みの席が確保できたのはいいんだけど、ちと寂しすぎだろ〜とか思いつつギネスを飲んでいるうちにそこそこ埋まってきて一安心です。 小さい箱で空席が多いとミュージシャンのモチベーションに影響しそうだし、音響も変わってくるし、なにかと不都合がありますからね。

本編

ほぼ定刻にフロアのライトが落ちてライブスタートです。 今回のトリオは、Alex Machacek(g)Kai Eckhardt(b)Marco Minnemann(ds)というメンツ。 使用機材は Alex がトランスルーセントグリーンの Steinberger GMFender Twin Reverb で、ラックには FRACTAL AUDIO SYSTEMS Axe-Fx ULTRA、Roland GI-20+XV-2020 と MTR のようなサンプラーのような詳細不明の機材も。 足元は見てくるのを忘れましたw Steinberger については、韓国製の安価なモデルのピックアップを交換して〜云々と語っていたインタビュー記事があったような気がするけど、このモデルかどうかは不明です。 Kai は Fender Precision Bass に GALLIEN-KRUEGER のヘッド+ SWR のキャビネットMarco はちょっと変わったセッティングの DW のセットでした。


□雑感
途中15分ほどの休憩を挟んで、前半55分、後半50分の公演時間でしたが、セットリストは最新アルバム中心!…ではなかったですね。 高速パッセージをみんなでキメキメのいかにもなナンバーと、ちょっと無機質な感じの浮遊感漂うナンバーが混在していて、全体的にはメンバーのファンもしくはこの手の音楽が好きな人じゃないと少々キツイかなーという印象でした。 なんだけど、やたらリラックスして演奏しているので、過剰に緊張感が漂うというわけでもなかったです。 曲によっては、小ネタを仕込んであからさまに笑いを取りにきたりとか。
Kai は寡黙なタイプなのか割と淡々と演奏していましたが、Alex と Marco はけっこう陽気で、笑顔を見せるシーンも多かったです。 しかし、Alex ってルックスは学者風だし、ちょっと気むずかしそうな雰囲気を漂わせていますが、意外とお茶目なんですね。 超ハイレベルな演奏を繰り広げつつも余裕の笑顔というのは、逆に言えば実力があるからこそですか。
そいや、Kai が最後にコンデジで客席の写真を撮ってました。 あと、Alex と Marco を並ばせて記念撮影したり。 さらに、はけるときに最前列のお客さんがカメラを向けると、三人寄り添って笑顔とかw 気難しそうな音楽をやってるのに、素はそこらへんの観光客と変わらないのが妙に可笑しかったです。


Alex のプレイは、大雑把に言えば Allan Holdsworth 風ですが、オルタネイトでのフルピッキングが基本スタイルなので、ニュアンスはだいぶ異なりますね。 ストレッチフォームの変わったヴォイシングでのコードプレイとか、スイープでアルペジオとか、たまにライトハンドとか、コンテンポラリーで多彩なスタイルのギタリストだと思います。 派手めの速弾きやトリッキーなプレイをやらないのでパッと聴いた感じは地味なんだけど、フレージングに個性があるところがポイント高いです。 そこはかとなく Allan っぽいのも確かなので、乱暴に言えばアグレッシヴな Allan って感じかな? ディストーションサウンドでのプレイはロックなかほりがするし。 


名義は Alex のトリオながら、ライブの核は Marco かな。 かなりの技巧派な上にパワフルで音もデカイので、否が応でも目立ちます。 オマケにリズムがキーになっている楽曲が多めなこともあってか、大活躍でしたね。 ノッてくるとツインペダルでドコドコいわせたりとか、スティックさばきとか、見た目も含めたパフォーマンスが派手なのも印象に残りやすいです。 真横に置いたスコアを見ながら叩くシーンも多くて、器用な人だなーと思いました。
ドラムソロでは、ステージ後方のスクリーン(ライブ中は上に巻き上げられている)を降ろして、映画の一シーンを映しながらその台詞に合わせて叩くというパフォーマンスを披露していました。 自身の教則ビデオで似たような事をやっていますが、これがなかなか面白くて客席から笑いも。 あと、他のメンバーと息を合わせてタイミングを計るような曲があったんですが、間のところでおもむろにペットボトルの水を飲んで笑いを誘ったりとか。 緊張感を和らげようとする姿勢は、根がエンターティナーだからなんでしょうね。



上にも書いたとおり、セットリスト自体は取っつきやすいとはいえない内容でしたが、メンバーの人柄が偲ばれるパフォーマンスで、必要以上にストイックな空気にならなかったのがよかったです。 テクニックオリエンテッドなタイプの楽曲は聴く方も力が入ってしまいがちですが、メンバーの、小難しいこと抜きに楽しもうぜーとでも言いたげな振る舞いで、リラックスできましたね。 プレイ&サウンドは想像していたものに近かったけれど、この空気感は意外でした。 さすがと言うしかないです。