Will Calhoun & Stanley Jordan Blue Note Tokyo(2008.8.6 21:30)

シアターガイドによれば「シンデレラ the ミュージカル」の上演時間は休憩を入れて約3時間15分らしいので、終演後速攻で移動しても BNT の開場時刻(20:45)にはギリギリで間に合わないかも? まあ、今日の 2nd Show、自由席は余裕ありな感じなので、遅く行ってもそんなに問題はなさげですが。 超久しぶりの Stanley はもちろん、Will のドラムもなにげに期待できそうな予感。


□現着
21時ちょい過ぎに到着して、整理番号が55番とか。 開場が遅れたようでロビーはそこそこ混んでいますが、どうなることやら。

本編

入場してパッと見た感じ自由席フロアはけっこうな入りでしたが、一人で身軽だったおかげで、整理番号の割には良い席(4列目どセンターらへん)で観ることができました。 ラッキー! 入場が遅めだったわりには開演はほぼ定刻で、オーダーした料理が来る前にフロアの照明が落ちてしまったのは残念でしたけど(終演後、ビールを追加して食べました)。


今回のライブに参加するにあたって、とりあえず出演メンバーの新譜をチェック…なんてことは一切やらずに来ましたが、意表をついた感じのサウンドでちとビックリ。 Stanley と言えば、Charnett Moffett(ワタシが一番好きなアコースティックベース奏者)らとのトリオで、割とオーソドックスなスタイルのジャズをやっていたイメージが強いですが(アプローチは全然オーソドックスではないけれど)、このライブではそこからはかなりかけ離れたタイプの音楽を演奏していました。 聞くところによれば、今回の構成は Will のバンドに Stanley が参加した形だそうですね。 イニシアティブは Will がとっていたのかな〜とか考えていましたが、ライブのタイトル、Will が先に来ている時点で気づけよ!って感じw 


パーソネルは Stanley Jordan(g)、Will Calhoun(ds)、Corey Wilkes(tp)、Marc Cary(key)、Mark Kelley(b)というメンツ。 使用機材は Stanley がトレードマークの Vigier のみ。 小さいミキサーかなんかを通してそのまま卓に送っていたようで、フロアに置いてあるモニタースピーカーでフィードバックさせたりとか。 Marc はアコースティックピアノの他には、YAMAHA Motif ES8、KORG MS2000、Mac(ソフトは不明)とか色々。 Mark はメーカー不詳の5弦ベース+Ampeg のアンプ、Will は2バス+2タムのセットをメインに、ステージ前方に単独でセッティングしたパッド(Roland製かな?)とか。 このパッドにはマルチエフェクタとワーミーペダルみたいなのが繋がっていました。


□Will Calhoun
つうことで、ライブの主役は Will ですね。 セットリストも Will の最新アルバムからのセレクトが数曲あるようですし。 楽曲のタイプを安直にカテゴライズすると、ミニマル風味のジャズ・ロックかなあ? 単純なリズムシーケンスの繰り返しの上に様々な音を乗っけて進行していくような構成の楽曲が多かったですが、けっこうグルーヴィーなノリで無機質な感じは希薄ですね。 テーマがキャッチーなわけでもないので、やや抽象的な印象もありますが、聴いていて苦痛になるほどではないです。 1曲だけ、やたらファンキーな感じの楽曲があったけど、残念ながらタイトルは不明です。


Will のプレイについては、普通のドラムセットを叩いている時は、力強さと鋭さが同居した、エネルギッシュなスタイル。 タムの音なんか、ダイレクトに脳天に突き刺さる感じですね。 個人的にはあまり好きなタイプのドラマーではないですが、個性的なのは間違いないし、文句なしに上手いです。 あと、パッドを使ったパッドソロ?みたいな楽曲があって、マルチエフェクタとフットスイッチを駆使してリアルタイムでループを作りながら、それに合わせて自由奔放に遊びまくる様は実に楽しそうでした。


□Stanley Jordan
さて注目の Stanley ですが、実にギターらしいアプローチで演奏していたのが印象的でした。 かつてはわざわざギターシンセにエレピの音をアサインして、まるでエレピのように演奏していて、だったらエレピ弾けばいいじゃ〜んと突っ込みたくなるような変態スタイルでしたからねえ。 このライブではクリーントーンをメインに、両手タッピングならではのヴォイシングが格好良かったです。 例えば、同じモチーフを両手で弾いてハモらせるとか。 ソロ(と、Will とのデュオ)の楽曲では、そのユニークなスタイルをフルに発揮して複雑かつ美しい響きを紡ぎ出していましたが、とても1本のギターで弾いているとは思えないようなサウンドながら、まさしくギターそのものとしか言いようのないサウンドになっているところがさすがだなと。 強めのディストーションにディレイがかかったメタルちっくな音色でのエモーショナルなプレイも披露していて、ちょっと意外な感じがしましたが、なかなか様になっていたと思います。
あと、演奏しているところを見ていて、両手タッピングというスタイルは右手が自由になるのが便利そうだな〜と思いました。 左手で普通にコードやメロディを弾きつつ、コントロール類を弄り放題なのはいいですね。 ま、そのためだけに両手タッピングをマスターしよう!なんて気にはなりませんがw


バッキングにまわった時に普通にフラットピックでコードストロークをしているシーンなんかもあったけど、その姿に違和感を感じてしまうところなんかは Stanley ならではですね。