Fresh Evidence / Rory Gallagher

フレッシュ・エヴィデンス(紙ジャケット仕様)

フレッシュ・エヴィデンス(紙ジャケット仕様)

1990 年リリースの Rory Gallagher 最後のスタジオ録音盤です。 最近 SONY/BMG が出している 5 枚組セット "Original Album Classics" シリーズの Rory のセットにも含まれています。 ちなみに Rory のセットはイマイチ意味不明な組み合わせなので、Rory 初心者向けにはマニアックすぎるし、マニア向けには中途半端な代物になっているのが残念です。 1 枚あたりの単価が安いのはいいんですが。


Rory といえば、荒削りでストレートなブルースフィーリング溢れるギターとぶっきらぼうなボーカルというイメージが強いですが、本作でも期待を裏切らない熱いプレイを披露していて、1 曲目「Kid Gloves」のイントロで思わずニヤリ。 アタックが強めで骨太なストラトサウンドや、プリングオフ&オンを絡めたクセのあるフレージングは健在で、Rory らしさ全開ですね。 ワンパターンだと言ってしまえばそれまでですが、時代に流さずに独自の路線を突き進んでいるところが潔いと思います。


収録されている楽曲がバラエティに富んでいるところも Rory らしさを感じさせます。 基本的にはストレートなブルースロック路線ですが、リゾネイターギターでトラッドな味わいを醸し出す弾き語りのEmpire State Express」とか、アコースティクギター+ブルースハープが渋い「Ghost Blues」とか、いかにもという感じ。 ここらへんは初期の頃から一貫していますね。
インストナンバーも収録されていて、生々しいストラトサウンドが堪能できる「Alexis」、Danny Gatton を彷彿とさせるロックンロール「The Loop」が良いアクセントになっています。 突出して印象に残る楽曲はないかもしれませんが、所謂ハズレ曲がないところがマル。


全体的なサウンドに関しては、長いキャリアならではの円熟味というか、良い意味で枯れていて聴きやすい仕上がり。 ブラスセクションやブルースハープが効果的に使われていたり、ギターのオーバーダブや広がりを感じさせるミックスが洗練された印象を与えます。 根っこの部分は不変ながら、時の流れとともに進化してきた結果がわかる、貴重な作品のひとつでしょう。