A Nod And A Wink / Camel

ア・ノッド・アンド・ア・ウインク(紙ジャケット仕様)

ア・ノッド・アンド・ア・ウインク(紙ジャケット仕様)

2002年リリースの、現時点では最新のアルバムです。 Camel 結成30周年を記念するとともに、同年1月に肺癌で亡くなったかつての盟友 Peter Bardens に捧げられた作品でもあります。 パーソネルは Andrew Latimer(g,fl,key,vo)、Guy LeBlanc(key,vo)、Colin Bass(b,vo)、Denis Clement(ds)、Terry Carleton(ds)。


作品全体を覆う、なんともいえない優しさ柔らかさに満ちた空気感は Camel ならではですね。 どちらかというとミディアム〜スローテンポの楽曲が多く収録されているのと、アコースティックギターを多用しているので、余計にそう感じるのかもしれません。 同時に、ある種の寂寥感のようなものを感じさせるのは、Peter に捧げたというバックグランドを抜きにして聴くことが出来ない故でしょうか。 


収録されている楽曲は、やや地味めな印象ながら、なかなかの佳曲揃いですね。 Andrew のギターとフルートが、もろに Camel なタイトルチューンの「A Nod And A Wink、初期 GenesisPeter Gabriel)を彷彿とさせるシアトリカルなボーカルと凝った構成で聴かせる「Fox Hill」、軽やかに疾走するリズムに、朗らかに歌う Andrew のギターが心地よい「Squigely Fair」あたりが特に印象に残ります。 もちろん、ここに挙げていない楽曲も、なかなか味わい深いです。


演奏面で言えば、ブルースフィーリング強めな Andrew のギタープレイが印象的です。 7曲目「For Today」や、日本盤のボーナストラック「After All These Years」で聴ける長めのソロパートなんかは、そこはかとなく David Gilmour 風味ですね。 特に後者は、Andrew の持ち味が最大限に発揮されたプレイで、ファンならずとも必聴です。 ぜひ日本盤を買いましょう。 あと、キーボードの Guy のプレイもいい仕事ぶり。 多用されているハモンドオルガンの控えめなバッキングがすごく効果的だし、ムーグっぽいシンセリードによるシーケンシャルなフレージングが、Camel サウンドに新風を吹き込んでいます。


本作も含めた近作のクオリティの高さは、長年活動しているバンドとしては驚異的なものがありますね。 現在、Andrew は病気で万全の状態ではないようですが、是非復活して新作を発表して欲しいものです。