No Smoke Without Fire / Wishbone Ash

No Smoke Without Fire

No Smoke Without Fire

Laurie Wisefield が参加してから5作目(トータルでは9作目、ライブ盤除く)となる、1978年リリースのアルバム。 ちなみに、パーソネルは Andy Powell(Vo,G)、Martin Turner(B,Vo)、Laurie Wisefield(G,Vo)、Steve Upton(Dr) です。 


以前、ここでも紹介したことがある、Laurie 初参加となった1974年リリースの5thアルム「There's the Rub」はファンの間でも評価の高いアルバムですが、その後アメリカ進出を狙って迷走という、ありがちなパターンで低空飛行をしていた時期に発表された、原点回帰のようなアルバムです。
この時期の迷走ぶりは「There's the Rub」の次にリリースされた「Locked In (1976) 」を聴けばよくわかります。 おまえらは Eagles か!と突っ込みたくなるような爽やかなサウンドで、彼らの持ち味であったイギリスらしい哀愁に満ちたテイストは影をひそめていて、実際アルバムの評価も芳しくなかったですね。 今聴くと、そんなにボロクソに言うほどでもない気はしますが、まあ、らしくないといえばらしくないかなw


長年バンドをやってれば色々と紆余曲折があるのは、いずこも同じという気はしますが、やっぱり Wishbone Ash といえば哀愁に満ちたメロディラインの楽曲とツインリードギターのカラミなわけで、本作は1st〜3rdアルバムを手がけたプロデューサー Derek Lawrence を迎えてレコーディングされました。
1曲目の「You See Red」を聴いて、"帰ってきた〜!"と叫んだファンが当時はいっぱいいたことでしょう。 これぞ Wishbone Ash としかいいようのない、Martin の哀愁のボーカルと、美しく重なる2本のギター。 う〜ん、やっぱこれでしょう。 他の楽曲も、メロディといいサウンドといい独特のカラーが出ていて言うことなしです。 特に、アルバムのラストを飾る大作「The way of the world Part1/Part2」。 Wishbone Ash 得意の、ちょっとプログレ入った変化に富んだ構成の楽曲です。 売れ線狙いなら、こんなの絶対やらないだろうなあという楽曲ですが、このアルバム全体の印象に大きく関与していると思います。


なにかと初期のアルバムばかり評価されがちなバンドですが、アンサンブルという面では、オリジナルメンバーの Ted Turner より Laurie Wisefield の方がギター上手いんで、彼が参加した「There's the Rub」以降のアルバムで、より密度の濃いアンサンブルが聴けるというのはポイントです。 あと、Laurie はソングライティングの才能もいけてるというのも見逃せませんね。


試聴はこちら(HMV)