安倍なつみ写真集「SCENE.(DVD付)」

なっちの最新写真集です。 前作の「ecru(エクリュ)」からあまり間をおかずにリリースされていますが、前作と本作ではテイストが大部違いますね。 カメラマン含めた、制作陣の指向性の違いが、そのまま受ける印象の違いとして現れているんではないでしょうか。


前作は熊谷貫氏がカメラマンでしたが、絵作りという意味では、より創作的な意図が見えやすいカットが多かった気がします。 安直な例でいえば、ゆかた姿に花をあしらった構図の写真なんかもそうですけど、被写体としてのなっち+アルファで、完成された写真として見せるような手法です。 最後の見開きでチョウとなっちの写真を並べているところなんかもそうですね。 絵を描くようにと表現してしまうと少し違いますが、そういったクリエイターとしての表現の発露みたいな部分に特徴が出ていた気がします。 出来上がった写真そのものはスマートにまとまっていて悪くは無かったですけど。


本作を撮っている橋本雅司氏は、よりダイレクトに被写体に迫って何かを引きだそうかとするような写真が印象的です。 なので、表現手法うんうんは関係なしに、被写体であるなっちそのものに興味がある向きには、橋本氏の手法のほうが直接的な分判りやすいんではないでしょうか。 音楽でいえば、熊谷氏の写真はリミックス、橋本氏の写真はアカペラ、みたいな(ちと乱暴ですけど)。 衣裳その他のコーディネイトや大人の事情などなど作品ごとに様々なんで単純には比較できませんが、単刀直入にエロティックな目線で評価するなら、本作はなかなかの出来だと思います。
もちろん、1冊の写真集としてまとまった作品なんで、それだけで評価するのは余りにもアレですけどw 水着姿で露出多め、かつセクシーな表情や狙ってるだろ的構図のカットが多めではあるものの、所々に配置してある、普段着のなっちとでも表現したくなる写真は効果的ですね。 コントラストの妙も含め、一種の安心感を与える効果があると思いました。 「こんな子がこんな格好を!ハァハァ…」というのとは違います、念のためw


ところで、本作はタイで撮影されている割には、タイらしいカットが少な目ですね。 この点について、大昔某写真家のインタビューで"海外ロケは絵としてのその土地の風景が欲しいのではなくて、海外に出かけることによって日常から開放された気分になれることの方が重要"みたいなニュアンスの事を語ってるのを読んだことがあります。 なっち自身も本作付属DVD の中で似たようなことを語っていますが、写真集に限らず、メディアに露出する仕事というのはこういうメンタルな部分が非常に重要なのかもしれません。