UNDER A DARK SKY / ULI JON ROTH

アンダー・ア・ダーク・スカイ

アンダー・ア・ダーク・スカイ

序章にあたる「Prologue to The Symphonic Legends」(id:anomala:20060721#p1)から 10 年以上の時を経て、やっとこさ「Symphonic Legends」の本編第 1 部(予定では 3 部作)がリリースされました。 「Prologue 〜」は Sky of Avalon 名義でしたが、こちらは Uli 名義です。 この「Symphonic Legends」のコンセプトについては説明するのが面倒なので、知りたい人はストーリーの概要について長々と書いてある「Prologue 〜」の日本語ライナーを読んでくださいw ではあんまりなので一言で要約すると「天界創造の一大叙事詩」(日本盤の帯より)です。 設定自体は SF 小説にありそうな感じですね。


1 曲目「S.O.S」〜 2 曲目「Tempus Fugit」の壮大なオーケストレーションとオペラ風ボーカルが重厚かつダークな感じで、こりゃ聴くのがヘヴィそうだな〜と思っていると、3 曲目「Land Of Dawn」から割と取っつきやすいテイストになって一安心。 無理矢理カテゴライズするなら、シンフォニックなプログレッシヴロックでしょうか。 シンフォニックメタルのバンドがやりそうなコンセプトですが、メタルというほどヘヴィなサウンドではないです。 基本的には、Sky Orchestra のストリングスが効果的に配されているのと、凝ったボーカルアレンジで重厚な音作り。 ちなみに「Prologue 〜」では Tommy Heart(Fair Warning)がボーカルを務めていましたが、本作は Mark Boals(Yngwie J. Malmsteen, Royal Hunt, etc)と Liz Vandall(Sahara)の二人を起用しています。


Uli のギターは、お馴染みの艶やかな音色に、丁寧なダイナミックスの処理、絶妙のフィードバックコントロールで、聴き惚れてしまいますね。 ヴィブラート一発で "らしさ" 全開なのがサスガです。 本物のヴァイオリンなのか Uli のギターなのか、一聴してわからないようなパートがあったりするのは面目躍如といったところでしょうか。 プレイスタイルが楽曲にぴったりとはまっているので、アンサンブルから浮き上がることなく存在感を示しているところも高ポイントでしょう。


収録されている楽曲は、キャッチーとまでは言えないものの、耳に馴染むメロディラインを持つものが多くて、抽象的な表現がほとんどないのがいいですね。 サウンドそのもの(アレンジ、プレイ、マスタリング)もすごく丁寧に作り込まれていて、聴きやすい仕上がりになっています。 全体的な構成も上手くまとまっていて、この手のアルバムにありがちな散漫な印象はありません。 詞(日本盤は訳詞付)を見ながら聴けば、邪念に捕らわれることなく浸れるかと思います。 この手の音楽が好きな人には文句無しでオススメできる仕上がりではないでしょうか。