Pat Metheny / Brad Mehldau Quartet Japan Tour 2007 at 茨城県立県民文化センター(2007.9.22) その2

茨城県立県民文化センター
会場の茨城県立県民文化センターは今年の4月に改装されていますが、あやや2005年春ツアーで行った時と比べると、確かに椅子はマトモになってました。 ただし、建物の外観はぜんぜん変わってなかったし、会場へ続く道の途中でロケンロールな兄ちゃん達がたむろってるのも変わってなかったですねw
お客さんの入りは、B席相当と思われるエリアに空席が目立ってましたが、そこそこ埋まっていたと思います。 物販は、一連の CD や DVD に加えて、キャップとTシャツを売ってました。 キャップは3〜4種類で 2.5K 、半袖Tシャツがブラック、サンドカーキ、ラベンダーの3種類で 3K 、長袖Tシャツはブラックだけだったと思いますが 4K でした。 Tシャツのデザインは、表が「Metheny Mehldau Quartet」のジャケット写真、裏がワールドツアーの開催地リストのプリント。 開演前のインフォメーションアナウンスで、パンフレットもあるような事を言ってたんですが、どこで売ってったんだろ?

本編

一応書いておくと、パーソネルは Pat Metheny(g)、Brad Mehldau(p)、Larry Grenadier(b)、Jeff Ballard(ds)というメンツです。 定刻(18:00)を10分程過ぎたところで、客電が落ちてライブスタート。 まずは、Pat と Brad のふたりだけで登場して、デュオナンバーから。 Pat はブラックのシャツにジーンズという格好でしたね。 Brad の機材は Steinway & Sons のピアノのみ。 ピアノは奥に向かって配置されていました(客席からは Brad の背中が見える形)。 Pat は、愛用の Ibanez PM-20 みたいなシルエットでテールピースがエボニー風のエレクトリック・ギター。 その他エフェクターとかアンプとか、ワタシの席(かなり後方)からはぜんぜん見えなかったですねえ。 う〜ん、残念。


残念といえば、途中で PA がトラブってましたね。 デュオコーナーのラストナンバーで、妙な音とともに PA がダウン。 演奏自体はそのまま続けてましたが、さすがに普通のホールで PA がないときついです。 Brad が MC で、技術的なトラブルがあるのでここはドラムの Jeff に任せよう(超適当訳w)みたいな事を言って、そのままドラムソロに。 幸い、PA は割とすぐ復活して、その後はノートラブルでした。


以下、ネタバレしてるかも。 というか、しまくってますw


□デュオコーナー
デュオコーナーは Brad 作曲の「Unrequited」みたいなナンバーから始まって、2曲目は Pat 作曲のナンバーと、交互に4曲披露されていました(たぶんw)。 時間にして45分くらいかな。 Pat は4曲目でアコースティク・ギターに持ち替えて「Make Peace」を演奏していました。 シングルカッタウェイで、サウンドホールの装飾がアバロンっぽい感じのスティール弦のモデルでしたが、Linda Manzer のやつなのかな? このギターはストラップピンのところに普通のシールド、ボディサイドやや下側にもう1本シールドが繋がっていました。 ちなみに、エレクトリック・ギターの方も2本シールドを挿しています。 低音弦のみオクターバーをかませて1オクターブ下の音を出していたので、それ用に都合のよいピックアップとか付いてるのかしら。


デュオでのプレイは、とにかく響きの美しくて惚れちゃいます。 PA の音量が、後方席ではやや小さすぎでディテールが聴き取りづらかったけれど、ふたりの紡ぎ出す音に浸っていると、そこはかとなく癒されますね。 綿密に計算されたというよりは、その時のインスピレーションというかフィーリングだけで進行しているように感じられるので、インプロビゼーションの一種みたいなもん? 特に、Brad 作曲のナンバーは抽象度が高いので、そのあたりが顕著だったと思います。 んが、結果として美しければプロセスなんてどうでもいいですね。


□カルテットコーナー
Larry と Jeff がステージに登場して、あらためて Brad によるメンバー紹介がありました。 んで、上に書いたとおり、まずは Jeff のドラムソロから。 4〜5分程して PA も復活したということで、仕切り直し?です。 ついでなんで、セットリストに沿った感想でも。


A Night Away(Metheny/Mehldau)

  • 曲が始まった瞬間、客席から拍手がおこったのは、お待ちかねの1曲といったところでしょうか。 テーマが印象的なこともあって、取っつきやすいですね。
  • 途中、Brad と Pat が長めにソロをとるパートはもちろん聴き所のひとつですが、同様にリズム隊のお仕事も見逃せません。 ノリのキモになっている Larry のベースと、割と自由に叩きつつ、要所要所で盛り上げる Jeff のドラムは、さすがとしか言いようがないかも。

Santa Cruz Slacker(Mehldau)

  • Brad 作曲のナンバーで、より Jeff の持ち味が出ていた気がします。 一応、曲としての体裁はあるものの Jeff に関しては野放し状態で叩きまくりで、これが楽曲に彩りを添えていました。 さすがに Brad のトリオで叩いてるだけはありますね。 ま、一歩間違えると変態系ですけどw 

En La Tierra Que No Olvida(Metheny)

  • ラテンフレイバーが心地良かったです。 こういう風に、Brad と Pat の、持ち味が全然違う楽曲を交互にプレイするセットリストは、コントラストの妙がはっきり出て面白いですね。 Brad の曲はどちらかというと抽象的で、聴いてる方に緊張感を与えかねない印象があるだけに、数曲続けてプレイされたら、ちときついかもしれません。
  • あと、この曲でもリズム隊のお仕事は素晴らしかったですね〜。 途中ソロをとっていた Larry のベースが支えるノリは地味ながらすごくグルーヴィーだし、Jeff の変幻自在のドラムも、軽やかかつカラフルで言うこと無し。 Pat も気持ちよさそうにソロをとっていました。

Ring of Life(Metheny)

  • Pat が GR-303 を手にギターシンセソロ。 あの音がホールに響き渡るだけで鳥肌立ちますねw Brad のソロも、間の取り方とかに独特の変態風味があって、特徴が出ていた気がします。 

The Sound of Water(Metheny)

  • Brad の MC でギター&曲紹介がありました。 ギターは、わざわざ紹介するくらいなので、ピカソギター。 一応、ギターですけど、もはやギターとは呼べない特殊な楽器なので、響きがハープみたいな感じで独特ですね。 通常のアコースティック・ギター同様に、低音弦(どこに張ってある弦か忘れましたw)でオクターブ下が出るようなセッティングになっていたと思います。 椅子に座って演奏する姿も含め、きらびやかな音色と響きの豪華さに圧倒されました。

Secret Beach(Mehldau)

  • 淡々とした曲調ですが、前半の押さえたムードから徐々に熱さを増していって、最後 Pat のギターシンセソロで終わる構成がすごく良かったです。 スタジオ録音よりも俄然熱さが強めになるのはライブならではって感じ。

Vera Cruz(Milton Nascimento/Marcio Borges)

  • Pat によるメンバー紹介に続けて演奏された本編ラストの曲は、既出のアルバムには収録されていないと思います。 けど、どこかで聴いたことがある気がしたし、テーマが明確なのと、全体的にはボサノヴァっぽいので、Pat の作品だろうな〜と思いつつ色々とナニしてアレしてたら、どうもこの曲のようですね。 Denver の The Paramount Theater でのライブでも披露されているようだし。 5分以上に及ぶ Jeff のドラムソロが熱かったです。
  • ちなみに、オリジナルは Milton Nascimento の歌入りです。 amazon USAで試聴可能です。

□アンコール
ダブルアンコールで2曲でした。 最初のアンコールが終わってメンバーが舞台下手側に捌けた後、客電が消えたままだったのでやりぃと思って一生懸命手拍子してましたけど、なぜか席を立つお客さんもいっぱいいたのが妙な感じでした。 コンサート慣れしていない地元の人か、遠征で終電が間に合わない人のどちらかでしょうね。 勿体ない…


Bachelors III(Metheny)

  • 今回のセットリストの中ではムーディーなナンバーなので、ちょっと落ち着いた雰囲気でしたが、なかなかよろしかったです。 Pat はじめ、Larry や Brad のソロも渋かったですね。 ただ、エンディングで混沌としてくるところはいかにもという感じw

Say The Brother's Name(Metheny)

  • いかにも Pat らしい、そこはかとなくラテンなかほり漂う軽快なテイストの作品。 かな〜り好きなタイプの楽曲なんで、最後の最後で聴けてめちゃハッピー!

とりあえず、こんな感じ。 最後は、当然のようにスタンディングオベーションです。 来日して最初のステージで、これだけ素晴らしい演奏を聴かせてくれれば、空気を読まなくても自然と立ち上がってしまいますね。 26日のNHKホールも楽しみ〜♪