25〜ヴァンサンク〜/安倍なつみ

25~ヴァンサンク~(初回限定盤)(DVD付)

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昨日発売、なっちのミニアルバムです。 ミニアルバムとはいえ新曲を5曲含む構成で、企画盤っぽさはないですね。 ひねくれた見方をすれば次のフルアルバムが遠くなったとも言えますが… 
一聴してアルバムとしてのまとまりが良いというか、楽曲の方向性にブレがないのがとてもいいですね。 アートワークも含め、コンセプトがしっかり定まっているという印象です。 マスタリングの仕上がり自体は、悪く言うと平板な感じですが、耳につくような刺激的なサウンドを排除して楽曲のテイストに合わせているんでしょう。 最後に収録されている「甘すぎた果実」も、シングルのミックスに比べるとだいぶ大人しめなレベルに押さえられています。


1曲目の「愛しき人」のボーカルを聴けばわかりますが、今までにない歌唱が新鮮ですね。 いい意味で肩の力が抜けていて、元々の持ち味である女性らしさ優しさが十二分に発揮されています。 楽曲のアレンジやオケのサウンドも、地味ながら嫌味のない仕事で、なっちの声と親和性が高い仕上がり。 作詞が全部女性というのもポイントかもしれません。
収録曲は佳作ぞろいですが、個人的には「大人へのエレベーター」と「くちびるで止めて」の2曲が特に好きかな。 前者はどことなく Caravan を思いおこさせるカンタベリーちっくな雰囲気(一瞬ねw)が印象的。 メロディラインそのものはややテクニカルな感じではありますが、なっちの軽やかな歌唱で、心地よい春の風といったところでしょうか。 印象的なエンディングもいいですね。 
後者は、軽やかなラテンナンバーで、こちらも季節で言えば春〜初夏みたいな爽やかさを感じさせる作品ですけど、ほんと、なっちの声がはまってます。 この2曲は、ギターが2006年春ツアー〜おとめちっくBANK〜の中野公演初日にピンチヒッターとして出演していた木村香真良氏ですが、いい仕事してますね。


つんく♂プロデュース作品ではないので、あの独特のくどさが好きな人には薄味すぎて物足りないかもしれません。 念のために書いておきますが、薄い=中身がない、ということではなし、単純に方向性の違いが出ているだけで、なっちらしさ、という意味では十分濃い内容になっていると思います。 寝る前にじっくりと歌詞カードを見ながら聴くといいかもしれませんね。