Gov't Mule/The Deep End Vol.1&Vol.2
- アーティスト: Gov't Mule
- 出版社/メーカー: Evangeline
- 発売日: 2008/01/13
- メディア: CD
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http://www.mule.net/index.php
では、あらためて…
元Allman Brothers BandのWarren Haynes(G)、Allen Woody(B)、Matt Abts(Dr)により1994年に結成されたトリオです。 2000年にベーシストのAllenが滞在先のホテルで急死してしまいバンド存続の危機に立たされますが、その直後にThe Deep End Projectとして作成されたアルバムをまとめたもので、 Vol.1、Vol.2、Hidden TreasuresのCD3枚組です。 ジャケ写自体はVol.2のものと同じです。
なにがすごいって、残されたふたりのために参加しているミュージシャンの顔ぶれが半端じゃありません。 クレジットされているベーシストは24名にものぼるし、その他多すぎで書き切れませんので、詳細は公式サイトを見てください。(ちなみに試聴もできます。)
人数もですが顔ぶれの幅広さもすごいものがあって、メタルからジャズまでいろんな分野のアーティストが参加していますが、プレイされている楽曲はバンドカラーから大きく外れてはいません。 本作はトリビュートアルバムじゃなくてあくまでもGov't Muleのアルバムなので、当然といえば当然かもしれませんが。 バンドの持ち味は、無骨でちょっと泥臭いサザンロックなナンバーですが、ゲストミュージシャン達が実力者揃いなので、そのカラーが楽曲に様々な彩りを加えています。 収録楽曲はWarren他の手になるオリジナル+カバー曲が3曲の構成です。
Vol.1、1曲目の、Jack BruceがVo&Bの「Fool's Moon」から渋く始まります。 この手の音が嫌いじゃない人なら気に入るはず。 2曲目はLarry GrahamがVo&Bを担当している「Life on The Outside」でファンキーに。 と、様々に表情を変えていきますが、無骨で泥臭い基本路線は維持されます。 それが端的に表れているのが、6曲目の「Maybe I'm a Leo」。 もちろんパープルのあの曲ですが、ベーシストがRoger Gloverで、アレンジ自体はたいして変わってないのに、ものすごく泥臭い音になってておもしろいです。 Warrenがギターソロを弾いているのですが、なにせ泥臭くなってるので違和感ゼロw 続く「Same Price」は、John Entwistleがベースで勢いのある明るめの楽曲。
と、書いているとキリがないですねw とにかく楽曲の表情の移り変わりが楽しいです。
あと、OrganやWurlitzerが使われている楽曲が多いのも、サザンロック風味を強く感じさせる要因のひとつでしょうか。 コードプレイでのバッキングやオブリ担当で渋く楽曲を支えています。オールマン仲間のChuck Leavellはじめ、さまざまなプレイヤーがOrganやWurlitzerを弾いてます。 オールマン出身のメンバーによるバンドとはいえ、オールマンよりもっとストレートでシンプルなサウンドですが、サザンロック風味は確実に受け継がれています。
どのナンバーもハイクオリティで聴き惚れてしまいますが、中でも個人的に素敵だなと思ったのを並べてみました。
・M06(Vol.1) Maybe I'm a Leo
- Guest:Roger Glover(B),Randall Brambblett(Organ)
- 前述のとおりですが、イントロのリフからしてノリが全然違うのがおもしろい。
・M08(Vol.1) Soulshine
- Guest:Willie Weeks(B),Little Milton(Vo,G),Chuck Leavell(Key)
- ChuckのムーディーなWurlitzerソロから始まるソウルフルなバラードナンバーです。 曲の構成や雰囲気はオーソドックスですが、なんかはまります。
・M09(Vol.1) Sco-Mule
- Guest:John Scofield(G),Chris Wood(B),Bernie Worrell(Key)
- ハネたリズムがいかしたインストナンバー。 Johnのギターソロのフレージングがすごく面白いです。 レガートな感じの長いフレーズを使わずに、ミュート多用のフレーズを繋いで、ちょっとユーモラスな印象です。
・M10(Vol.1) Worried Down with The Blues
- Guest:Gregg Allman(Vo,Organ),Oteil Burbridge(B),Derek Trucks(Slide Guitar)
- 王道のスローブルースナンバーですが、Greggのボーカルで「オールマン!」って感じ。 Derekの泣きのギターも渋い。
・M05(Vol.2) What is Hip?
- Guest:Rocco Prastia(B),Johnny Neel(Organ)
- Tower of Power! Roccoの刻むマシンガンビートが気持ち良すぎでファンキーなナンバー。 JohnnyのOrganソロもいけてます。 ブラスパートがないので曲の印象は大部かわりますが、こちらのアレンジもタイトでいい感じ。
・M09(Vol.2) Sun Dance
- Guest:Chris Squire(B),Johnny Neel(Organ)
- リッケンバッカー片手にChrisさん参加の、「YES意識して作ったでしょ」と突っ込みたくなるインストナンバー。 Warrenのギターもプリングオフフレーズとか、もろSteve Howeだしw ふつうにプログレしてるし、本作の中で一番異質な作品かもしれません。 録音の関係か、リッケンっぽさが薄まってるのがちょっとおしいかも。
・M10(Vol.2) Lay of the Sunflower
- Guest:Phil Lesh(B),David Grisman(Mandlin),Rob Barrco(P)
- いかにもアメリカ南部といった感じの、ちょっと泥臭いスローバラード。 マンドリンがいいアクセントになっています。
・M11(Vol.2) Catfish Blues
- Guest:Billy Cox(B),Bernie Worrell(Organ)
- Billy Coxですよ、奥さん! Warren得意のスライドギターが炸裂しまくりにも程があるブルース。 トラディショナルブルースですが、いろいろジミヘン入ってます。 Billyのベースがヘヴィです。
・M13(Vol.2) Babylon Turnpike
- Guest:Alphonso Johnson(Electric Upright Bass),Johnny Neel(P)
- ちょっと哀愁を帯びた雰囲気の、ジャジーなインストナンバー。 Warrenもクリーントーンでジャジーにプレイしています。
・M05(H.T.) Drivin' Rain
- Guest:James Hetfield(Vo),Les Claypool(B)
- JamesさんはVoのみで参加。 ギターリフとかちょっとHM/HR風にしてみました、みたいなストレートなロックンロールナンバーです。
もう上げてるときりがないですねw Warrenといえば復活版Allman Brothers Bandでの活躍が印象的ですが、本作では幅広い音楽性をいかんなく発揮しています。 ただし、根っこはサザンロック、ということが如実に感じられるのがマル。 本作のほとんどの楽曲を手がけていますが、コンポーザーとしての才能も非凡なものを感じさせますね。
ストレートなアメリカン・ロックが好きな人はぜひ聴いてみてください。 参加してるゲストミュージシャンのヲタの方もぜひw