Blacklight Sonata / Michael Lee Firkins

Black Light Sonatas

Black Light Sonatas

ソロ名義としては実に10年ぶり、ロックレジェンドのカバー作品「Decomposition(1997年)」(id:anomala:20050814#p3)以来のアルバムです。 2004年にリリースされた The Clinton Administration の トリビュートアルバム(id:anomala:20060130#p2)にギタリストとして参加してはいたものの、やはりソロ名義というのは格別ですね。 パーソネルは Michael Lee Firkins(g,vo)、Kai Eckhardt(b)、Thomas Pridgen(ds)という面子がメイン。 他に数名のゲストミュージシャンを迎えていますが、キーボードに Chuck Leavell の名前もあります。


かつては、フローティングさせたロック式トレモロユニットを駆使した疑似スライドギターがユニークなプレイスタイルを特徴づけていましたが、現在はボトルネックを使った本物のスライドプレイです。 ジャケットには Johnson の Swamp Stomper Resonator に似たギターが写っているので、本作で使用しているのはこのギターだと思われます。


1曲目「One Big Punch(Crying Stacks)」は、デビューアルバム「Michael Lee Firkins」の1曲目「Laughing Stacks」のモチーフを引き継いだような楽曲でアルペジオ風フレーズが特に印象的。 ディストーションサウンドも似ているし、この楽曲を1曲目に持ってきたところにある種の意志を感じさせます。 スライドによるリードプレイは切れ味バツグンで、ミュートの上手さや音の選び方なんかは割とコンテンポラリーな感じかな。
3曲目「Black Betty」では、珍しい Michael のボーカルが聴けます。 なかなか渋い声で Steve Howe よりは上手いですねw 楽曲そのものは骨太なブルースロックで、ペンタトニックによるベタな感じのフレージングが炸裂しています。 他にも、そこはかとなく The Allman Brothers Band な「Took The Words Right Outta My Mouth」とか、面白いかもしれません。


泣きのギターが美しいラストナンバー「Blacklight Sonata」を除いて、全体的にはブルース色の強い楽曲が多いですね。 方向性がイマイチ定まっていなかった「Chapter Eleven」(id:anomala:20050816#p3)や「Cactus Cruz」(id:anomala:20060513#p1)あたりの作品と比較すると、まとまりという意味では悪くないかもしれません。 ただ、楽曲そのものの魅力が若干弱いかな〜という印象もあるので、誰にでも楽しめるかどうかは微妙ながら、Michael のファンならずともスライドギターが大好きな人なら、一聴の価値はあると思います。